沖縄論考

日本と沖縄のことについて考えていきます。

沖縄に基地を押し付ける「本土人」(1)

沖縄県の県土面積は日本全国の0.6%を占める。そこに、日本全国の米軍専用施設の約74%が集中している。この度、県北部にある演習場の広大な土地が返還され、いわゆる「負担軽減」が実現するが、それでも負担比率は71%までしか減らない。 なぜ、沖縄にこれほど…

鶴保発言の問題点

「『土人』発言問題」に関する鶴保沖縄相の発言について考えてみたい。同氏の一連の発言は以下である。 「これを人権問題だと捉えるかどうかは、言われた側の感情に主軸を置くべき」「県民の感情を傷つけたという事実があるなら、しっかりと襟を正していかな…

「土人」発言に思う(3)

最後に、「土人」発言と警察権力の問題について考えてみたい。 機動隊員による「土人」発言のあった直後、その「派遣元」である大阪府の松井知事は、ツイッターの中で、「(土人という表現は)不適切」としながらも、同機動隊員に対し、「一生懸命職務を遂行…

「土人」発言に思う(2)

大阪府警から沖縄に派遣されていた20代の機動隊員による「土人」発言について、さらに考えてみたい。 「土人」という言葉は、歴史的に、「本土」の日本人が沖縄人を侮蔑し、差別する言葉として使われてきた(沖縄人に対してだけでなく、北海道のアイヌ人に対…

「土人」発言に思う(1)

大阪府警から沖縄に派遣され、高江ヘリパッド建設地の警備にあたっていた20代の機動隊員が、ヘリパッド建設反対派で抗議活動にあたっていた市民に向かって、「ボケ、土人」という暴言を吐いたと報道されている。 また、現地から返された同機動隊員に対し、大…

沖縄の負担は74%か23%か

沖縄県は、面積比で言うと日本全体の0.6%、人口比で言うと日本全体の約1%の規模であるが、そこに、日本全国の約74%に及ぶ米軍専用施設が集中している。それらは沖縄県の県土面積の約10%、沖縄本島の面積の約18%を占める。 沖縄県以外にも米軍基地は存在する…

「本土」へ基地を引き取る

ここまで、「本土」への基地引き取りは、左右の立場を超えて支持されるべき考え方であると主張してきた。 それでも、いざ自分の住む町に米軍基地ができるという段になると、やはり、住民達の激しい不安と懸念を呼び起こし、政治的立場を超えた猛烈な反対・反…

「基地引き取り論」を支持する

前回まで、「沖縄にある米軍基地を『本土』へ引き取る」という主張は、「左派」「平和運動家」「安保廃棄論者」の人々からも、「右派」「保守派」「安保支持論者」の人々からも、支持されてしかるべきだということを述べた。 「左派」「平和運動家」「安保廃…

「基地引き取り論」に対する反発(2)

「沖縄にある米軍基地を『本土』へ引き取る」という主張は、前回述べたように、「左派」「平和運動家」「安保廃棄論者」の人達から反発されることが予想されるが、同時に、「右派」「保守派」「安保支持論者」の人達からも反発・反対されるようである。 「右…

「基地引き取り論」に対する反発(1)

私は、沖縄に対する過重な基地負担の押し付けを解消するためには、沖縄にある米軍基地を、「本土」に引き取るしか方法はないと考えている。 この「基地引き取り論」は、恐らく、「左派」「平和運動家」「安保廃棄論者」の人達から、激しい反発と反対を喰らう…

沖縄の基地は「本土」に引き取る

ここまで、平和活動家たちによる「反戦平和運動」や政府の「基地負担軽減策」では、沖縄に対する過重な基地負担の押しつけを解消することは不可能であると述べてきた。 結論的には、沖縄に対する過重な基地負担の押しつけをやめる方法は、先にあげた三つの方…

「基地負担軽減」というまやかし

歴代の内閣は、基地に関連する事故や事件(例えば、1995年の少女暴行事件や2004年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事件など)が起き、沖縄人の基地に対する反発・反対が高まるたびに、「基地負担の軽減に努める」ことを打ち出しだしてきた。 政府内にも、沖縄の経…

「日本のどこにも基地はいらない」が犠牲にするもの

普天間基地の移設や北部訓練場の返還に伴う、辺野古新基地建設や東村高江のヘリパッド建設に対する反対運動が現地で繰り広げられている。反対運動には地元の人達のほか、本土からも様々な団体が集まり、加わっているという。 左翼系政治団体や平和活動家の中…

沖縄への基地の押しつけをやめる

ここまで、「『本土』に住む我々が沖縄に過重な基地負担を押し付けている」「沖縄に対する基地の押し付けはやめなければならない」ということを主張してきた。 では、押し付けをやめるために、我々は具体的に何をしたらよいのだろうか。「安保廃棄・日本から…

女性殺害事件の「政治利用」(2)

前回は、女性殺害事件に抗議し、海兵隊撤退を求める沖縄県民の声を、「女性の死の政治利用」と決めつける言論に対し、そのような言論は、沖縄に過重な基地負担を押し付け続けようとする意思から来る、「沖縄への基地押しつけのための手段」に過ぎないと批判…

女性殺害事件の「政治利用」(1)

沖縄で発生した20歳女性の殺害事件に対し、沖縄からは激しい怒りの声が上がり、抗議が続いている。戦後、過重な基地負担を押し付けられ、騒音、犯罪、環境汚染、事故の被害に悩まされ、犠牲を強いられてきた沖縄人の怒りは、すでに「限界を超え」、「もうこ…

「第二の加害者」

2016年6月19日に開かれた沖縄県の「県民大会」において、若い世代の代表として演壇に立った大学4年生 玉城愛さんのスピーチに以下の一段があった。 「安倍晋三さん。日本本土にお住まいのみなさん。今回の事件の『第二の加害者』は、あなたたちです。しっか…

沖縄に基地を押し付けている者

「『本土』に住む我々が沖縄に基地を押し付けている」と言われても、当の「本土」に住む日本人は、何のことを言われているのか理解できない者が大多数であろう。むしろ、そのように言われると、何か不当な言いがかりをつけられているような反発や驚き、心外…

彼女を殺したのは私だ

2016年5月に沖縄で起きた女性殺害事件。「米軍属逮捕」の第一報を聞いた時、「またか」「ついに再び起きてしまったか」という衝撃とともに、鉛を押し込まれたような重苦しさを腹の底に感じた。 この重苦しさは、事件以来、日常生活を送る中で、事件のことが…