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沖縄論考

日本と沖縄のことについて考えていきます。

「基地引き取り論」に対する反発(2)

「沖縄にある米軍基地を『本土』へ引き取る」という主張は、前回述べたように、「左派」「平和運動家」「安保廃棄論者」の人達から反発されることが予想されるが、同時に、「右派」「保守派」「安保支持論者」の人達からも反発・反対されるようである。

 

「右派」「保守派」「安保支持論者」の人達(にも様々な立場があるので、一括りにはできないが、ここでは主に「親米右派」と呼ばれる人々を指す)は、日米安保体制は、抑止力として、戦後の日本及び極東地域の平和と安全を守るために機能してきたと考え、中国の海洋進出や北朝鮮の核開発など、「日本を取り巻く環境の変化」と「日本の安全に対する脅威」に対処するため、今後、維持されるだけでなく、さらに強化されるべきだとも考えている(過去数十年の間、過半数以上の国民の支持の下、歴代の政権によって不断に強化されてきた)。

 

そのような彼らが「沖縄にある米軍基地を『本土』へ引き取る」という主張に反発するのはなぜか。

 

一つは、彼らは、それが日米安保体制の弱体化につながると考えているからである。沖縄の米軍基地は、中国や北朝鮮に対する抑止力として機能しており、それらを沖縄から他所に移すことは、抑止力の低減につながると考えている。

 

また、沖縄からの米軍基地の撤去は、中国や北朝鮮に対し、「誤ったメッセージ」を発することにもなり、「日本とその周辺地域で保たれている平和と安全の秩序を不安定化させる」と、彼らは考えている。沖縄の米軍基地を「本土」に引き取るということは、日本の国防を弱体化させ、他国に軍事的に付け入る隙を与えるというのである。

 

そのような考えは、「沖縄は軍略的、地政学的に優位な位置にあり」、そこに基地を集中させることが抑止力を発揮するのに最も有効であり、したがって、沖縄に基地を集中させることはやむを得ない、もしくは、積極的に基地を集中させ、沖縄を「国防の要」として活用すべきだという見方がベースにある。

 

そして、沖縄からの「『本土』も基地を平等に負担してほしい」という声に対しては、「沖縄を含む日本の安全保障のためには、沖縄に米軍基地を集中的に配置するのは、残念ながらやむを得ない」「沖縄の方は大変だが、沖縄の軍略的、地政学的優位性を理解し、基地負担を引き続き受忍してほしい」「沖縄の人々は安易に『基地反対』を叫ぶのではなく、日本の国防を担っているという自覚、もしくは誇りをもってほしい」などと答える。

 

しかし、沖縄の「軍略的、地政学的優位性」については、沖縄に集中する基地の75%を占める海兵隊基地については当てはまらないことが、日米両国の政治家の発言や学者の研究・議論から、近年明らかになっている。

 

詳しい議論は別の機会に譲るが、海兵隊の基地は、軍事的見地から言うと、沖縄にある必要はなく、「西日本ならどこに置いてもよい」のが実態であり、沖縄から「本土」に基地を移しても、「抑止力の弱体化」にはつながらない。

 

それでも沖縄に米軍基地が集中しているのは、「本土」に基地の引き受け手がいない、すなわち、「本土」の誰も基地を引き受けたがらないためであり、それによって「本土の我々」が沖縄にそれを押し付けているからである。

 

一般的に言って、「右派」「保守派」「安保支持論者」の人達は、「左派」「平和運動家」「安保廃棄論者」の人達に比べ、安全保障や国防に対する意識が高く、愛国心が強く、「自分の国を守る」ことに対する責任感もより強い人たちであると思う。「左派」「平和運動家」「安保廃棄論者」の人達のような、軍事、軍隊に対する心理的アレルギーも薄いはずである。

 

もしも、彼らが、「日本の国防、安全保障のために、日米安保条約は必要であり、日本に米軍が駐留することは必要だ」と考えるのであれば、「日本人としてその負担は引き受ける」「自分の住む地域に米軍基地を受け入れることで国を守ることに貢献する」と考え、基地の負担を受け入れてしかるべきではないか。

 

愛国心」や「公の意識」を言うのであれば、日米安保体制下において、愛する日本を守るために必要であり、かつ究極的な公的責務である米軍基地の負担は、沖縄だけに押し付けるのではなく、誇り高い愛国者である「右派」「保守派」「安保支持論者」の人達こそ、率先して受け入れるべきである。

 

むしろ、そのような意識の高い「本土の日本人」が、誇りをもって基地を受け入れることが、日米安保体制をさらに安定的に維持していくために有利でもあろう。

 

「本土の我々」は、戦後70年間、沖縄に米軍基地の負担を押し付け続け、さらに約40年の間、全国の75%という過重な負担を押し付けてきた。沖縄人の忍耐も限界に達しており、米軍基地に対する反発は強まる一方である。

 

このように、反基地感情が強く、不安定な沖縄に基地を押し付け続けるよりも、約80%の人間が日米安保条約を支持し、日米安保体制が今後も続くことを望んでいる、その「本土」に基地を引き取るほうが、中長期的に見て、ずっと安定した基地運用が可能になるはずだ。

 

そして、自分の住んでいる地域に米軍基地を抱えることは、国民一人一人が、不断に「安全保障とは何か」「国を守るとはどういうことか」を考え、学ぶ機会を与え、国民の国防に対する意識を高めるのにも大いに寄与するであろう。

 

以上のことから、「本土」への基地引き取りは、「右派」「保守派」「安保支持論者」の人達によっても、強く支持されてしかるべきなのである。